池田 雄大

子どもたちの笑顔が集まる場所「OLIOLI」店長

PROFILE

1998年1月1日、東京都出身。小学5年生時に一宮町に移住。千葉県立長生高校の部活動でクライミングをはじめ、順天堂大学に進学。高校卒業まではクライミングの中の種目「リード」「ボルダリング」を行っていたが、大学で出場する大会に「スピード」が含まれていたことが転機となり、「スピード」に専念することとなる。2019年2月、「第1回スピードジャパンカップ」で初代王者に輝いた。その後、2019年度スポーツクライミング スピード日本代表に選出され、野口啓代、楢崎智亜らの指導にも携わる。2020年3月、一宮町にクライミングジム「OLIOLI」をオープンし店長を務める。

MESSAGE

はじまりは自宅の庭に建てた壁から

少し武骨な外観ながら、中に足を踏み入れると待っているのは、鮮やかな人工芝が敷き詰められたスペースと、カラフルな突起物で彩られた大きな壁、そして聞こえてくる子どもたちの笑い声……。

ここは、今年オープンしたばかりのクライミングジム「OLIOLI」。その店長を務めるのが、池田雄大さんだ。現在22歳の若さながら、近年注目が高まりつつあるクライミングの種目の一つである「スピード」の頂点を競う大会として、2019年2月に開催された「スピードジャパンカップ」で初代王者となった、日本のトップクライマーの一人である。

「最初は、弟の練習用にベニヤ板 2 枚分くらいの壁を、父が庭に作ったことがはじまりでした。そこに僕が面白そうなホールド(クライミングで使用する突起物)を買ってきてコースを作ったりして、徐々に壁の枚数も増えていったんです。そのうち弟の友達も集まってくるようになって、楽しそうに登る子どもたちを見ているうちに、池田家で本格的なジムを作ってみようという流れになっていきました」

地元の人々や、友人など多くの人たちの協力のもと完成したアットホームなクライミングジム。「大人も子どもも、みんなの遊び場のようなところになれば」という思いでスタートしたが、一方で”本気”の血も騒ぐのはトップアスリートの性。館内には、キッズ・初心者向けから中上級者向けまで幅広いコースが揃い、そのコースの設定を、同じく日本トップクライマーであり親交のある楢崎智亜選手や野口啓代選手が手掛けるなど、日本有数のクライミングジムと言っても過言ではない施設となった。

釣ヶ崎海岸に鳥居で星を眺めるのが日課

そんな池田さんは、小学校5年生の時にこの一宮の町に引っ越してきて以来、ほとんどの時間をこの地で過ごしてきた地元っ子だ。

「大学3、4年時は授業などの関係で(千葉県では都会的な)柏市に住んでいたんですけど、コンクリートに囲まれた生活ってなんか嫌になっちゃうんですよ(笑)。それに比べて一宮町は、時間がゆっくりと流れているのがいいところだなと思っていて。高い建物がなくて、自然も豊か。ここに帰ってくると、『やっぱり一宮がいいなぁ』って思いますね」

お気に入りのスポットを聞くと、返ってきた答えはやはりこの町ならではのスポットだ。

「釣ヶ崎海岸に鳥居があるんですけど、夜は光害がなくて真っ暗。だから星がすごくきれいに見えるので、お気に入りの場所なんです。僕の家は、お風呂に行くときにちょっとだけ外を通るんですけど、その時にふと空を見て『星がきれいだな』って思ったら、もう衝動に駆られて鳥居のところに行っちゃいますね(笑)。

あと、疲れた時によく行くのは砂浜。家から数分で行けてしまうので、友達を呼んで、ゆっくりと流れる時間の中で砂浜に座ってダベってる時間が好きです。やっぱり砂浜で海の音を聞くと落ち着くんですよ」

もちろん、海は見たり聞いたりするだけの場所ではない。本腰を入れて始めたのは今年に入ってからだと言うが、池田さんにとってサーフィンもライフワークの一つだ。

「サーフィンはまだまだ苦戦中ですよ(笑)。僕もアスリートなので、できないことに対して、どうやったらできるかを頭の中で考えるんですけど、周りに聞くと『サーフィンは感覚が大事だ』って言われる。しかも、相手にするのは波風のある海。同じ波は二度とこないんですけど、クライミングは真逆で壁の角度も石の位置も変わらないから、自分を変えていけば絶対にできるようになる。そういう意味でサーフィンは難しいんですけど、うまくなればもっともっと楽しいんだろうなと思って、日々頑張って練習しているところです」

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